系統用・低圧蓄電池の施工会社の選び方|任せる範囲と確認点

系統用・低圧蓄電池の施工会社の選び方

この記事でわかること

  • 蓄電池事業に関わる会社の役割(用地・申請・施工・保守・運用)
  • 施工会社に任せる範囲の決め方(一括発注と分離発注の違い)
  • 施工会社を選ぶときに見る5つの視点
  • 見積書で確認したい項目と、金額だけで比べてはいけない理由
  • 発注前に確認したい10項目のチェックリスト
  • 九州・宮崎で施工会社に確認したいこと

はじめに:施工会社選びで、事業の収支と工期が変わる理由

系統用蓄電池や低圧蓄電池は、電力市場での運用によって収益を得る事業です。太陽光のFIT(固定価格買取制度)のように、設置すれば終わりという設備ではありません。

施工会社は、機器を据え付けるだけの存在ではありません。系統連系(電力会社の送配電網へのつなぎ込み)の手続きや保安体制、運用開始までの工程にも関わります。

そのため、どの会社にどこまで任せるかで、工期・費用・運用開始後の負担が変わります。

この記事は、蓄電池事業を検討している投資家・事業主の方と、施工を委託したい企業のご担当者に向けて、発注前に押さえたい判断基準をまとめました。

事業の全体像は、系統用蓄電池とは:仕組みから施工の流れまで九州の現場から解説もあわせてご覧ください。

蓄電池事業に関わる会社:役割を5つに整理する

まず、蓄電池事業に登場する会社の役割を整理します。「施工会社」と呼ばれる会社でも、対応できる範囲は会社ごとに異なります。

役割主な仕事発注前に確認したいこと
用地土地の確保、賃貸借契約、地盤・接道の確認自分で用意するか、任せるか
申請・系統連系電力会社への申請・協議、工事費負担金の確認申請をどこまで代行してくれるか
設計・施工(EPC)機器の選定・調達、基礎工事、設置工事設計から施工まで一社で対応できるか
保守(O&M)定期点検、故障対応、保安管理引き渡し後も対応してくれるか
運用(アグリゲーター)電力市場での取引の代行選定・契約に関わってくれるか

※EPCは、設計(Engineering)・調達(Procurement)・施工(Construction)の頭文字です。O&Mは運転・保守を指します。アグリゲーターは、複数の蓄電池を束ねて電力市場で運用する事業者のことです。

低圧蓄電池(50kW未満)の場合は、アグリゲーターとの契約が必要になります。需給調整市場の最低入札量が1MW(1,000kW)のため、低圧蓄電池は単体で参加できないからです。

選び方はアグリゲーター選定で失敗しないために|低圧蓄電池オーナーが必ず確認すべきポイントで解説しています。

ROLE MAP

蓄電池事業に関わる会社の役割マップ

施工会社ごとに、5つの役割のうちどこまで対応できるかが違います

1

用地

主な仕事:土地の確保、賃貸借契約、地盤・接道の確認

確認:自分で用意するか、任せるか

2

申請・系統連系

主な仕事:電力会社への申請・協議、工事費負担金の確認

確認:申請をどこまで代行してくれるか

3

設計・施工EPC

主な仕事:機器の選定・調達、基礎工事、設置工事

確認:設計から施工まで一社で対応できるか

4

運用アグリゲーター

主な仕事:電力市場での取引の代行

確認:選定・契約に関わってくれるか

低圧蓄電池(50kW未満)は契約が必要です。需給調整市場の最低入札量が1MWのため、単体では参加できません。

5

保守O&M

主な仕事:定期点検、故障対応、保安管理

確認:引き渡し後も対応してくれるか

一括発注

5つの役割を一社に任せる。窓口が一本化され、責任の所在が明確になりやすい

分離発注

工程ごとに別の会社へ依頼する。工程の調整と責任の切り分けは発注者側の仕事

契約前に、どの役割まで含まれるかを書面で確認しましょう

「どこから相談すればよいか分からない」という方は、無料でご相談ください(宮崎・熊本・鹿児島対応)。

用地の確保から施工、アグリゲーターとの連携まで、状況に合わせて整理します。

どこまで任せるか:一括発注と分離発注の違い

施工会社を探す前に、どこまで任せるかを決めておくと、比較がしやすくなります。

一括発注分離発注
窓口一社工程ごとに複数社
責任の所在明確になりやすい発注者が切り分ける必要がある
工程の調整会社側が行う発注者が行う
向いているケース初めての蓄電池事業、社内に電気の専門人材がいない用地や保守体制をすでに持っている

一括発注のメリットと注意点

申請から施工まで一社に任せると、窓口が一本化されます。工程間の連携ロスや、責任の所在が曖昧になる事態を避けやすくなります。

一方で、「一括」といっても、契約に含まれる範囲は会社ごとに違います。保安管理や運用開始後の保守が対象外のケースもあります。契約前に、範囲を書面で確認してください。

分離発注が向くケース

用地を自社で確保済みの場合や、保守は地元の電気工事会社に任せたい場合は、分離発注も選択肢です。

ただし、工程の調整や責任の切り分けは発注者側の仕事になります。調整に時間を割けるかどうかを踏まえて選びましょう。

施工会社を選ぶ5つの視点

視点1:類似案件の施工実績

低圧(50kW未満)と高圧(50kW以上)では、手続きも設備も異なります。同じ連系区分で、近い規模の実績があるかを確認しましょう。

施工件数だけでなく、「申請から関わった案件か」「運用開始まで完了した案件か」を尋ねると、実態が見えます。

視点2:対応範囲

用地・申請・設計・施工・保守のうち、自社で対応できる工程と、外部に頼る工程を聞いてください。外部に頼る場合は、連携先と、トラブル時の責任窓口も確認します。

視点3:系統連系と保安への対応力

見落とされやすいポイントです。系統に単独でつなぐ蓄電池は「蓄電所」として扱われます。出力が50kW未満でも、経済産業省の手引きでは次の対応が求められています。

  • 技術基準への適合維持
  • 保安規程の届出
  • 電気主任技術者の選任

電気主任技術者は、自社で選任するほか、要件を満たせば外部委託の承認を受ける方法もあります(出力5,000kW未満・連系電圧7,000V以下の蓄電所が対象)。

なお、太陽光発電所など発電設備と同じ構内で電気的につながる場合は、蓄電所には含まれません。どちらに当たるかは、事業計画ごとに確認が必要です。

また、容量20kWhを超える蓄電池は、多くの自治体で消防署への届出の目安になります。設置地の火災予防条例を確認し、誰が手続きを行うかも決めておきましょう。

これらの手配を、施工会社が担うのか、発注者が担うのかを、契約前に決めておくことが重要です。

視点4:保証・保守体制

機器保証や容量保証(何年で何%の容量を保証するか)は、メーカーごとに条件が異なります。保証の窓口が、メーカー・代理店・施工会社のどこになるかも確認してください。

蓄電池は長く使う設備です。施工会社が将来も存続しているかも大切な視点です。メーカーと直接つながる一次代理店は、部品供給や保証の手続きが進めやすい傾向があります。

視点5:工期と資金の見通し

蓄電池本体の納品に、約6か月かかることもあります。用地選定から運用開始までの目安は、系統用蓄電池で約1年、低圧蓄電池で6〜12か月です。

この期間には、電力会社側の連系工事も含まれます。施工会社が短縮できない工程もあるため、「自社で管理できる工程」と「電力会社の工程待ち」を分けて説明してもらいましょう。

また、蓄電池の補助金は制度が流動的です。補助金を前提にした資金計画は避け、なくても成立するかで判断することをおすすめします。低圧蓄電池の収益や費用感は低圧太陽光の隣に置ける新投資|低圧蓄電池の仕組みと収益性で解説しています。

見積もり比較のポイント:金額だけで判断しない

蓄電池の見積もりは、含まれる範囲が会社によって大きく異なります。低圧蓄電池の初期投資は2,000〜3,000万円が目安ですが、この金額に何が含まれるかで、実際の総額は変わります。

見積書では、次の項目を確認してください。

確認項目見るポイント
機器の範囲蓄電池本体・PCS・EMS・筐体まで含まれるか
工事の範囲造成・基礎・設置・配線がどこまで入っているか
申請・協議の費用接続検討料や工事費負担金は別途か
保安関連の費用主任技術者・保安規程の費用は誰の負担か
保守費用年額はいくらか、点検の回数と内容
保証期間・容量の条件・窓口
撤去・原状回復契約終了時の撤去費用の扱い
追加費用の条件どんな場合に追加費用が発生するか

※PCSはパワーコンディショナー(直流と交流を変換する装置)、EMSはエネルギー管理システムです。

「一式」とだけ書かれた項目は、内訳を出してもらいましょう。内訳の提示に応じてもらえるかも、会社を見極める材料になります。

契約前チェックリスト:発注前に確認したい10項目

CHECKLIST

契約前チェックリスト:発注前に確認したい10項目

契約書に署名する前に、書面で確認してください(タップでチェックできます。ページを更新すると消えます)

範囲と実績

見積もりと費用

工期

保安と届出

保証・保守・運用

確認できない項目があれば、契約前に施工会社へ質問しましょう

見積書や計画書の内容に不安がある方は、お問い合わせページからご相談ください。複数社の条件を並べて比較したい方も、判断材料をお渡しするだけで構いません。

やってはいけないこと:発注で失敗しやすい3つのパターン

1. 金額の安さだけで決める

含まれる範囲が違う見積もりを、総額だけで比べるのは避けてください。安く見えても、保安関連や保守、撤去の費用が別途になっていることがあります。

2. 口頭の説明だけで契約する

「対応できます」「大丈夫です」という説明だけで進めると、後から範囲や保証の食い違いが起きやすくなります。範囲・保証・工期は、契約書や仕様書に落とし込んでもらいましょう。

3. 連系の可否や負担金が見えない段階で、機器を発注する

低圧であっても、周辺の配電線に空きがなければ連系できないことがあります。系統用蓄電池では、工事費負担金の額が事業判断の分かれ目になります。結果が出る前に機器を発注すると、撤退しにくくなります。

安全面の注意

蓄電池設備は、高電圧・大容量の設備です。オーナー自身が筐体を開けたり、配線に触れたりしないでください。点検や修理は、有資格者に任せる必要があります。

また、容量20kWhを超える電力貯蔵装置は、事故が起きた場合に国への報告対象です(2025年11月施行の電気関係報告規則の改正)。事故時の報告を誰が行うかも、契約前に決めておくと安心です。

九州・宮崎で確認したいこと:出力抑制・台風・高温多湿

九州は太陽光の導入量が多く、昼間に出力抑制(電力が余ったときに発電を止める措置)が頻繁に起こるエリアです。そのため蓄電池の需要が高く、宮崎県内でも大型の工事がすでに動いています。

蓄電池の納品には半年ほどかかることもあります。着工時期は、早めに相談しておきましょう。

宮崎は、台風や高温多湿の影響を受けやすい地域です。施工会社には、次の3点を確認してください。

  • 台風時の風に耐える基礎・筐体の仕様になっているか
  • 高温多湿や、沿岸部の塩害を想定した設計か
  • 台風や地震のあとに、すぐ点検に来てもらえるか

地元に対応できる拠点があるかどうかは、発注後の安心感に直結します。

用地から施工まで相談できます:他社の計画も対応可

株式会社サンオブサンカンパニーは、九州で16,000件以上の太陽光発電システムの導入実績があります。蓄電池では、メーカーの一次代理店として、機器の選定から施工、アグリゲーターとの連携、運用開始後のフォローまで一貫してご相談いただけます。

用地のご相談も承っています。詳しくは【九州】300平米から可能|低圧蓄電池用地を募集していますをご覧ください。

他社が設置したシステムでも、まずはお気軽にご相談ください。設置業者が廃業・撤退した場合のご相談も承っています。

無料でご相談ください(宮崎・熊本・鹿児島対応)

まとめ:任せる範囲を決めて、書面で確認する

  • 蓄電池事業には、用地・申請・施工・保守・運用の5つの役割がある
  • まず、どこまで任せるか(一括か分離か)を決める
  • 実績・対応範囲・保安対応・保証保守・工期の5つの視点で比べる
  • 見積もりは、金額よりも含まれる範囲を見る
  • 契約前に、10項目を書面で確認する

施工会社選びは、事業の収支を左右する大切な判断です。迷ったときは、判断材料を集めるところからご相談ください。

参考:経済産業省「電力貯蔵装置(蓄電池)・蓄電所を設置する場合の手引き」