2024年版DR補助金を活用して家庭用蓄電池を導入する方法

DR補助金2024年

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、私たちの家庭でも再生可能エネルギーを利用することが求められています。

そのためには太陽光発電や蓄電池の導入が有効ですが、これらの設備は高額で、導入に迷う方も多いでしょう。

そこで、経済産業省が提供している「DR補助金」という制度を活用することで、導入費用の一部を補助してもらうことができます。

この記事では、DR補助金の概要や利用手順をわかりやすく説明します。

DR補助金とは?その仕組みと目的

DR補助金は、正式名称を「令和5年度補正 家庭用蓄電池等の分散型エネルギーリソース導入支援事業費補助金」といい、家庭での蓄電池導入を支援するための日本政府の補助金制度です。

この補助金制度は、電力の需給バランスの調整と再生可能エネルギーの普及を目的としており、家庭のエネルギー管理をより効率的に、かつ持続可能なものにすることを支援します。

DR補助金の仕組み

DR補助金の仕組みは、蓄電池を導入する家庭に対して、その購入費用や設置費用の一部を補助することで、導入コストを軽減するものです。

蓄電池を使用することで、電力の使用ピーク時間帯に蓄電池の電力を使用することができ、電力会社の供給負担を軽減します。

具体的には、蓄電池アグリゲーターと呼ばれる事業者と契約し、家庭での電力使用をDR(ディマンドリスポンス)プログラムに参加させることで、補助金を受け取ることができます。

このプログラムに参加することで、電力需要が高まる時間帯に使用を抑えたり、夜間に電力を蓄えて日中に使用したりすることで、効率的な電力利用が可能になります。

DR補助金の目的

DR補助金の主な目的は次の3点です:

  • 電力需給のバランス調整: 電力需要がピークに達する時間帯に、家庭で蓄電池に蓄えた電力を使用することで、電力会社の供給負担を軽減します。これにより、全国的な電力供給の安定化が図られ、大規模な停電リスクの低減にも寄与します。
  • 家庭用蓄電池の導入促進: 蓄電池の導入には高額な費用がかかるため、補助金を利用してそのコストを削減し、より多くの家庭が蓄電池を設置できるように支援します。これにより、家庭ごとにエネルギーの自給自足が進み、全国的に蓄電池の普及を加速させます。
  • 再生可能エネルギーの普及促進: 再生可能エネルギーの利用を促進することで、特に太陽光発電との組み合わせにより、家庭のエネルギー消費をよりクリーンで持続可能なものにします。これにより、個々の家庭がカーボンニュートラルの実現に向けた一歩を踏み出すことができるようになります。

DR補助金は、このように電力供給の安定化と再生可能エネルギーの利用促進を同時に進めるための重要な支援制度です。

家庭での蓄電池導入を検討している方は、この補助金を活用することで、経済的な負担を軽減しながら、持続可能なエネルギー利用に貢献することができます。

DR(ディマンドリスポンス)とは?

DRは「Demand Response」の略で、日本語では「需要応答」と訳します。電力の需要量と供給量を調整するための仕組みの一つで、大きく分けて「上げDR」と「下げDR」の二つがあります。

  • 上げDR: 電気の需要量を増やすことです。例えば、太陽光発電の発電量が多い時間帯に、その電力を使い切るために蓄電池を充電するなどして、電力の需要を増やします。
  • 下げDR: 電気の需要量を減らすことです。例えば、電力需要のピーク時間帯に、無理のない範囲でエアコンの設定温度を変えたり、蓄電池に貯めた電力を使用したりすることで、電力の需要を減らします。DR補助金はこの下げDRに参加する必要があります。

DRプログラムとは?

DRプログラム(需要応答プログラム)とは、電力会社が電力の需給バランスを調整するために、家庭や企業に電力の使用状況の調整を依頼するプログラムのことです。

このプログラムに参加することで、電力会社は需要のピーク時に負担を軽減し、電力の安定供給を図ります。

DR補助金を活用するメリットとデメリット

DR補助金を利用して家庭用蓄電池を導入することには、さまざまなメリットとデメリットがあります。

この補助金制度を効果的に活用するためには、それぞれのポイントを理解しておくことが重要です。

メリット

1. 導入費用の大幅な削減

蓄電池の導入には通常、高額な初期費用がかかります。しかし、DR補助金を活用することで、その費用の一部を補助してもらえるため、導入コストを大幅に削減することが可能です。

特に、費用面で導入を迷っている家庭にとって、この補助金は大きな支援となります。

2. 電気代の節約

蓄電池に夜間の安い電力を蓄えておき、昼間に使用することで、電気代を節約できます

また、太陽光発電システムと組み合わせることで、昼間の電力消費を自家発電で賄うことができ、電力会社からの購入電力を減らすことが可能です。

4. 災害時の備え

蓄電池を導入することで、停電時にも蓄電池の電力を利用できるため、災害時にも安心して電力を確保できます。
特に、災害リスクの高い地域に住む家庭にとって、蓄電池は重要なライフラインとなります。

5. 環境への貢献

再生可能エネルギーの利用を促進することは、カーボンニュートラルの実現に寄与します。
蓄電池を活用してクリーンエネルギーを効率的に利用することで、家庭レベルでのCO2排出削減を実現できます。

デメリット

1. 電力使用の制限

DRプログラムに参加することで、電力会社からの要請に応じて電力使用を制限しなければならない場合があります。

例えば、電力需要が高まる時間帯には、エアコンの使用を控えるなどの対応が求められることがあります。
このような制限が、生活スタイルに影響を与える可能性があります。

2. HEMSの導入費用

DR補助金を活用するためには、HEMS(Home Energy Management System)を導入する必要があります。

しかし、HEMSの導入費用は補助の対象外であり、20~25万円程度の追加費用が発生することがあります。
このため、HEMSの導入を考慮した総費用を検討する必要があります。

3. 補助金の申請手続きの煩雑さ

DR補助金の申請には、蓄電池アグリゲーターとの契約や、申請代行者を通じた手続きが必要です。

これにより、申請プロセスが複雑になり、手続きに時間と労力がかかることがあります。
特に、手続きの遅延や書類の不備が発生すると、補助金の交付が遅れる可能性もあります。

4. 制度の変更リスク

補助金制度は、国の政策や予算の状況によって変更される可能性があります。

そのため、申請時点では適用可能だった補助金が、後に適用外となるリスクも考慮する必要があります。
また、補助金が予算に達した時点で締め切られることがあるため、早めの申請が求められます

DR補助金の対象となる蓄電池の詳細は、こちらのページで詳しく解説しています↓

お問い合わせページ

HEMS導入とDR補助金の関係性について

家庭用蓄電池を導入する際にDR補助金を活用するには、HEMS(Home Energy Management System)の導入が必要不可欠です
HEMSは家庭内のエネルギー消費を管理し、効率的に電力を使用するためのシステムであり、DRプログラムに参加するための重要な要素となります。
ここでは、HEMSとDR補助金の関係性について詳しく解説します。

HEMSとは何か?

HEMSとは、「Home Energy Management System」の略で、家庭内での電力使用をリアルタイムで監視し、最適なエネルギー利用をサポートするシステムです。

このシステムを導入することで、家庭内の電力消費を細かく把握し、節電や省エネ対策を効果的に行うことが可能になります。

具体的には、以下のような機能を持っています:

リアルタイムモニタリング

家庭内で使用されている電力の状況をリアルタイムで監視し、無駄なエネルギー消費を防ぎます

エネルギーの最適化

夜間の安い電力を蓄電池に蓄え、昼間の電力需要が高い時間帯に使用するなど、エネルギーを効率的に管理します

DRプログラムへの対応

電力会社からの要請に応じて、家庭内の電力消費を調整する機能を備えており、DRプログラムへの参加が可能になります

HEMS導入とDR補助金の関係

DR補助金を利用するためには、HEMSの導入が必須となっています。
これは、DRプログラムにおいて、電力の需要応答(Demand Response)を実現するために、家庭内のエネルギー消費を管理するシステムが必要であるためです。

HEMSの役割

DRプログラムにおいて、電力会社からの要請に応じて家庭内の電力消費を調整する際、HEMSがその中心的な役割を果たします。

例えば、電力需要が高まる時間帯にエアコンの設定温度を自動で調整したり、蓄電池の電力を適切に使用することで、電力の需給バランスを保つことができます。

補助金対象外のHEMS導入費用

ただし、HEMSの導入費用はDR補助金の補助対象外であるため、約20~25万円の費用は自己負担となります
このため、HEMSの導入費用を含めた全体のコストを慎重に検討する必要があります。

DR補助金の詳細

  • 正式名称: 令和5年度補正 家庭用蓄電池等の分散型エネルギーリソース導入支援事業費補助金
  • 実施主体: 経済産業省
  • 補助対象者:
    • 日本国内に居住する個人であること
    • 導入する蓄電池の所有者であること
    • 蓄電池アグリゲーターとDR契約を締結していること
    • 申請代行者を通して申請することに同意できること
    • 申請者が個人の場合は、メールアドレスを所有し、申請前にSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)が指定する本人確認(proost)ができること
    • DR対応期間中の実施状況を蓄電池アグリゲーターに報告することに同意できること
    • 経済産業省から補助金等停止措置又は指名停止措置を受けていないこと
  • 補助対象設備:
    • 新規に導入する蓄電システムであること
    • SIIに登録されている製品であること
    • DRに対応可能な設備であること
    • 蓄電池の購入価格と工事費の合計が目標価格以下であること
  • 補助金額:
    • 補助金基準額(1台あたり): 3.7万円/kWh(初期実効容量)
    • 費用区分: 設備費、工事費
    • 補助率: 1/3以内
    • 補助金上限額(1申請あたり): 60万円
  • 申請受付期間: 2024年3月14日~予算額に達するまで
  • 交付決定: 随時(家庭用の場合、申請から2週間~4週間程度)

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蓄電池システム評価で補助金アップ!

令和5年度補正DR補助金では、蓄電池システムの性能に応じて補助金が上乗せされる制度があります。補助金の上限額の範囲内で、以下の条件を満たすことで補助金が増額されます。

項目評価基準家庭用蓄電システムの増額業務産業用蓄電システムの増額
ラベルJIS C 4414の規格に準拠したラベル表示があること0.2万円/kWh
類焼性電動車に使用されていた蓄電池モジュールを再利用した蓄電システムの場合に、第三者機関による証明を受けていること0.6万円/kWh
レジリエンス故障や災害発生時でも電力を供給できる体制が整っていること0.1万円/kWh0.25万円/kWh
廃棄物処理法上の広域認定の取得蓄電池を製造・販売する事業者が、廃棄物処理法上の広域認定を取得していること0.1万円/kWh0.25万円/kWh

DR補助金の申請方法

DR補助金の申請は、個人で行うことはできません。必ず、「申請代行者」として登録されている販売店を通して申請する必要があります。申請代行業者は、無料で申請手続きを代行してくれます。

DR補助金の申請手順

ステップ1
販売店を探す

DR補助金の申請代行者として登録されている販売店を探します。

ステップ2
見積もりを依頼

販売店に連絡を取り、蓄電池の導入費用に関する見積もりを依頼します。

ステップ3
DRプログラムの契約

販売店を通して、電力会社とDRプログラムの契約を結びます。

ステップ4
補助金申請

販売店が、補助金の申請手続きを代行してくれます。

ステップ5
審査・交付決定

審査に通れば、補助金の交付が決定します。

ステップ6
工事・設置

蓄電池の工事と設置を行います。

ステップ7
補助金受け取り

補助金の額が確定した後、指定の口座に補助金が振り込まれます。

お見積りシミュレーション

DR補助金と他の補助金の併用方法

DR補助金を利用して家庭用蓄電池を導入する際に、他の補助金と併用することで、さらに費用を抑えることが可能です。ただし、併用にはいくつかのルールや注意点があります。

ここでは、DR補助金と他の補助金を併用する方法について詳しく解説します。

国の補助金との併用

DR補助金は、国が提供する他の補助金と併用することができません。

同じ財源から提供されている補助金は、重複して利用することが制限されています。
例えば、経済産業省が提供する他のエネルギー関連の補助金や環境省の補助金などが該当します。

そのため、DR補助金を利用する際には、同じ国の補助金をすでに利用している場合は、併用できない可能性があることに注意が必要です。

自治体の補助金との併用

一方で、自治体が提供する補助金とは併用できる場合が多くあります。

各自治体は独自にエネルギー効率改善や再生可能エネルギー導入を支援するための補助金を提供していることがあり、これらをDR補助金と併用することで、より多くの費用をカバーすることができます。

注意点

申請手続きの複雑化

複数の補助金を併用することで、申請手続きが複雑になる可能性があります。
各補助金の要件や締切をしっかりと把握し、計画的に手続きを進めることが重要です。

併用条件の確認

各補助金には併用条件が設定されている場合があるため、申請前に併用可能かどうかを必ず確認してください。
特に、同一の事業や設備に対して重複して補助金を受け取ることが制限される場合があります。

DR補助金申請に関するよくある質問

補助金の申請が不交付になる場合は?
申請期限までに必要書類を揃えられなかった場合や、工事完了前に契約を結んでしまった場合などに、補助金の交付を受けられないことがあります。
補助金の受け取り方法と時期は?
蓄電池の設置工事が完了し、実績報告書を提出した後、遅くとも2025年3月末までに、申請者の口座に補助金が振り込まれます。
補助金は返還しなければならない?
補助金の使い道が申請内容と異なっていた場合や、補助事業完了後6年以内にSIIの許可なく蓄電池を譲渡・交換・貸し付け・担保にした場合は、補助金を返還しなければならないことがあります。
補助金申請の手続きは複雑?
申請代行業者がすべての手続きを代行してくれるので、申請者は身分証明書や振込口座の情報などを用意するだけで申請できます。
太陽光発電システムを設置していないと申請できない?
DR補助金の申請には、太陽光発電システムの設置は必須ではありません。しかし、DRは「下げDR」を実施するための補助金なので、太陽光発電システムを設置している方が、より効果的にDRに貢献することができます。
他の補助金と併用できる?
同じ財源である国の補助金とは併用できませんが、自治体の補助金とは併用できる場合があります。詳しくは、サンオブサンカンパニーまでお問い合わせください。

まとめ

DR補助金を活用すれば、お得に蓄電池を導入することができます。

  • 申請は自分自身で行うことはできず、必ず申請代行者を通して申請する必要があります。
  • 補助金の額は、蓄電池の容量や性能によって異なります。
  • 補助金の申請は、予算の上限に達し次第、締め切られる可能性があります。

少しでも興味があれば、早めに情報収集を始め、早めの行動を心がけましょう。

詳しい情報や申請方法については、サンオブサンカンパニーまでお気軽にお問い合わせくださいませ!

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