九州の出力制御、このままで大丈夫ですか?
せっかく発電しているのに、「出力制御」で電気を捨てなければならない——。
宮崎をはじめ九州エリアの太陽光発電オーナーの方なら、こうした経験をお持ちではないでしょうか。
2023年度には全国で約17億kWhもの出力制御が実施され、特に九州電力管内ではその影響が深刻でした。
しかし今、この「出力制御の損失」を逆に収益へと転換できる仕組みが注目されています。
それが「FITからFIPへの転換」と「蓄電池の併設」を組み合わせた戦略です。
さらに、2026年度から出力制御の優先順位が変わる予定であり、早めに動き出した発電所ほど有利になる見通しです。
この記事では、FIP転換の仕組みとメリット、対象となる発電所の条件、そして手続きの流れをわかりやすく解説します。
FIPとFIT:制度の違いをわかりやすく解説
FIT と FIP の仕組みを比較する
買取制度
付き市場売電
| 比較項目 | FIT | FIP |
|---|---|---|
| 売電単価 | 固定 | 市場価格+プレミアム |
| 売電先 | 電力会社 | 卸電力市場 (アグリゲーター経由) |
| 蓄電池との相性 | 低い | 高い |
| 出力制御の順位 (2026年度以降) |
先に制御される | 後回し(優遇) |
| 収益の安定性 | 高い | 運用次第で高収益も |
※ 出力制御の優先順位変更は2026年度実施予定(経済産業省方針)
FIT(固定価格買取制度)とは
FIT制度は、国が定めた固定単価で、最長20年間にわたり電力会社が電気を買い取る制度です。
2012年に導入され、太陽光発電の普及を大きく後押ししてきました。
収入が安定している反面、市場価格に関わらず一定の単価での売電となるため、電力が「余っているタイミング」でも変わらず系統に流し続ける構造になっています。
FIP(フィード・イン・プレミアム)とは
FIP制度は、2022年4月からスタートした新しい売電制度です。
電力を卸電力市場で売却し、その市場価格に「プレミアム(補助額)」が上乗せされる仕組みです。
発電事業者の収入は以下のように計算されます。
FIPの売電収入 = 市場販売収入 + プレミアム(補助額)
市場価格が高い時間帯に売電できれば、FIT以上の収益を得られる可能性があります。
2つの制度の比較表
| 項目 | FIT | FIP |
|---|---|---|
| 買取単価 | 固定(契約時に決定) | 市場価格+プレミアム |
| 売電先 | 電力会社 | 卸電力市場(アグリゲーター経由) |
| 収益の安定性 | 高い | 運用次第で高収益も |
| 出力制御の順位 | 先に制御される(2026年度~) | 後回し(優遇) |
| 蓄電池との相性 | 低い | 高い |
FIP転換で収益が改善できる理由
蓄電池を組み合わせると何が変わるか
FIT制度のもとでは、発電した電気はそのまま系統へ流して売電するのが基本でした。
蓄電池があっても、売電単価が固定であるため、タイミングを変える意味がありませんでした。
一方、FIPに移行して蓄電池を併設すると、次のような運用が可能になります。
- 電力が余って市場価格が低い時間帯 → 蓄電池に充電
- 需要が高まって市場価格が上がる時間帯 → 放電して売電
これにより、同じ発電量でも売電収入を最大化できる可能性が生まれます。
「安い時に貯めて、高い時に売る」仕組み
太陽光発電は昼間に多く発電しますが、電力需要のピークは夕方以降に集中することが多いです。
蓄電池があれば、昼間に貯めた電気を夕方・夜間の高単価帯に放電して売電できます。
「出力制御=売電損失」だったFIT時代から、「出力制御=貯める機会」へと発想が変わるのがFIP転換の本質です。
「安い時に貯めて、高い時に売る」:時間帯別の充放電フロー
発電量が多く
電力が余りがち。
売らずに貯めておく。
出力制御が起きやすい
時間帯。FIPなら
貯めながら待てる。
需要がピークに達し
市場価格が上昇。
ここで売電して収益最大化。
※ 市場価格は需給状況により変動します。上記は一般的な傾向を示したイメージ図です。
九州エリアで特にFIP転換が有効な背景
出力制御の現状と2026年度のルール変更
九州電力管内は全国でも出力制御が特に多いエリアです。
太陽光が多く普及している一方、需要のバランス調整のために発電を止める機会が頻繁に発生しています。
そして今、見逃せない制度変更が迫っています。
経済産業省は、早ければ2026年度から「出力制御の優先順位」を変更する方針を示しています。
- 現在:FIT・FIPの区別なく制御
- 2026年度以降(予定):FIT発電所を先に制御し、FIPは後回し
つまり、FIP転換をしていない発電所ほど、今後は出力制御の影響を受けやすくなる見通しです。
FIPは抑制の対象になりにくい
FIP転換後は、出力制御の優先順位が後ろに下がります。
FIT発電所が先に制御された後でなければ、FIP発電所には抑制がかかりません。
宮崎・九州エリアのように出力制御が多い地域では、このメリットが特に大きくなります。
「どうせ捨てるなら貯めておく」という発想が、そのまま収益向上につながる仕組みです。
出力制御の優先順位:2026年度前後の変化
※ 2026年度実施は経済産業省の方針に基づく予定。詳細は資源エネルギー庁の最新情報をご確認ください。
FIP転換の対象となる発電所の条件
こんな発電所オーナーに向いている
FIP転換+蓄電池の組み合わせが特に有効とされるのは、以下のような発電所です。
| 条件 | 目安 |
|---|---|
| 発電規模 | 50kW以上(低圧・高圧) |
| 売電単価 | 32円/kWh以上 |
| 残FIT期間 | 10年以上 |
| 所在エリア | 九州電力管内(出力制御が多いエリア) |
これらの条件をすべて満たす発電所は、FIP転換による収益改善の効果が特に大きいとされています。
ただし、条件が一部異なる場合でも収益改善が見込めるケースがあります。
ご自身の発電所が対象になるか不安な方は、まずはご相談ください。
他社が設置したシステムでも、まずはお気軽にご相談ください。
手続きの流れ:2025年9月からワンストップ申請が可能に
FIP転換には国(経済産業省)への申請が必要です。
これまでは①FIT→FIP移行の申請、②蓄電池設置の変更認定申請、と2段階の手続きが必要で、手間と時間がかかっていました。
しかし2025年9月1日以降、この2つの申請が実質ワンストップで行えるようになりました。
申請の大まかな流れ
FIP転換:申請の大まかな流れ
設備容量・FIT単価・残FIT期間・蓄電池の設置スペースを確認します。条件(50kW以上・売電単価32円以上・残期間10年以上が目安)を満たすか確かめましょう。
FIPでは市場売電を代行する「アグリゲーター」との契約が必要です。委託費用・対応エリア(低圧対応か否か)を確認した上で選定します。
経済産業省の電子システムから申請します。2025年9月以降は、FIP移行と蓄電池設置の2つの申請を同時に提出できるようになりました。提出書類の内容は正確に準備しましょう。
変更認定取得後、敷地内または隣接地に蓄電池を設置します。電気工事士による施工が必要です。既存のパワーコンディショナー(PCS)との接続方式も事前に確認しておきましょう。
アグリゲーター経由で市場売電を開始します。市場価格+プレミアムでの収益化がスタート。蓄電池を活用して高単価帯に放電・売電する運用が始まります。
※ 蓄電池設置の変更認定申請には年度ごとの申請期限があります。スケジュールは早めにご確認ください。
申請時の注意点
- FIP移行申請時と、正式な変更認定申請の内容が一致している必要があります。
書類の食い違いが生じると審査が長引く原因になります。 - 蓄電池設置の変更認定申請には年度ごとの申請期限があります。
スケジュールは早めに確認しましょう。 - 既存設備のパワーコンディショナー(PCS)との接続方式(ACリンク・DCリンク)によって、設計が変わる場合があります。
注意点と確認しておくべきこと
FIP転換はメリットが大きい一方、いくつかの点を事前に確認しておくことが重要です。
市場価格の変動リスク
FIPでは売電単価が毎月変動します。
FIT時代の固定収入と比べると、収入の予測が立てにくくなる面があります。
プレミアムによる下支えはありますが、長期的な収益予測には専門家への相談をおすすめします。
蓄電池の設置スペース
蓄電池は既存の発電所敷地内または隣接地に設置する必要があります。
既存のFIT発電所は敷地をギリギリまで活用しているケースも多く、設置スペースの確認が重要です。
離れた土地への設置は現実的ではないため、現地調査が欠かせません。
インバランスリスクへの対応
FIPでは、発電計画と実績がずれた場合に「インバランス料金」が発生します。
この対応はアグリゲーターに委託するのが一般的ですが、委託費用が別途かかる点も考慮に入れてください。
DIY・無資格作業は絶対にNG
蓄電池の設置工事は電気工事士資格が必要な作業です。
感電・発火などの重大事故につながる危険があるため、必ず専門業者に依頼してください。
まとめ:今がFIP転換を検討するタイミング
FIT→FIP転換+蓄電池の組み合わせは、出力制御に悩む九州・宮崎エリアの発電所オーナーにとって、収益改善の有力な選択肢です。
特に以下の点が重なる今は、検討を始めるのに適したタイミングといえます。
- 2026年度から出力制御のルールが変わる(FITが先に制御される)
- 2025年9月から申請手続きがワンストップ化された
「自分の発電所は対象になるか?」「蓄電池の設置スペースはあるか?」といった疑問は、現地調査を行った上でのご提案が一番確かです。
株式会社PVSは九州で16,000件以上の施工実績を持ち、宮崎・熊本・鹿児島エリアで対応しています。
他社が設置したシステムの診断・ご相談にも対応しています。
まずはお気軽にご連絡ください。
この記事の情報は2026年2月時点のものです。制度の詳細は経済産業省・資源エネルギー庁の最新情報をご確認ください。

